ミステリと言う勿れ / 田村由美
5巻です! (→ܫ←)
前巻では、運ばれた先の病院内でふと目に付いた暗号に誘い出されて、ちょっとした事件(?)に巻き込まれた久能くん
彼に暗号を解かせて事の解決へと導かせたのは「ライカ」と名乗る少女だったが、彼女の目的とは一体…?
あらすじ(※ネタばれあり)
冒頭― 燃え盛る民家を前に、それを眺める数人の少年たち…
「綺麗な送り火だね」と一人の少年が言う
そして続けて「おめでとう これで君は自由になった」と幼い少年に語りかける
もう一人の少年も言う
「これからはいいことが待ってるぜ オレもそうだった」
「この人に 天使に 助けてもらったんだ」
大学にて講義を受ける久能
授業の講師は「箱の中のカブトムシ」という有名な思考実験について説明をしている
「(中略)…自分が考えるように 他人も感じ考えているとは限らない」…
授業終わりに久能はその授業の講師である天達に相談を持ち掛ける
暗号で話し掛けてくる女性がいて困惑していると―
天達はそれに対して自分なりの見解を述べ、そして久能にアドバイスする
「あなたはこれから 多種多様な 年齢性別もバラバラな 多くの人とつきあっていかなきゃならない そういう仕事に就こうとしている」
「人に会い 人を知りなさい 今のうち」
久能は授業の後、昨夜ライカに暗号で指示された通りに病院へと足を運ぶが、院内を歩いている際に質の悪い男に絡まれる
いつもの蘊蓄で相手の調子を狂わせて事無きを得るが、しかしその後無事に指定場所へと辿り着くも、肝心のライカが現れない
代わりにまたしても暗号が残されており、久能がその指示に従って動くと、そこには今度は2枚の塀の写真と、写真の裏面にはその塀の場所と思われる住所が記されていた
仕方なくその場所へと向かう久能だが、しかしそこには人だかりと、火事で焼けた1軒の住宅があった
近所の人の話によると、火事でその家の小学生の子供だけが助かったということ
久能が焼け落ちた住宅と写真の中の塀とを見比べていると、人だかりの中、ひとりの少年が久能を凝視している…
少年は久能に話し掛ける
「火事は怖いですね 子供だけでも助かってよかった」
…
感想(※ネタばれあり)
ミステリと言う勿れ / 5巻
今回は連続放火殺人事件に巻き込まれる久能くん ((( ゚Д゚;)))
しかもその件にはどうやら児童虐待問題が絡んでいるようで…?
この事件の犯人と思われる「天使」と「カエル」君の犯行の動機は、幼少期における親からの虐待であるらしく、彼らは自分たちと同じような境遇の子供たちを救い出そうとしているわけです
…しかしこういった自身の負の体験に動機付けされる救済行為って、果たして純粋な利他的行動なのでしょうか?
そこには自分自身を救いたいという衝動と、かつて自分を虐げていた親への復讐心もあるのでは…
と、思います
同じ境遇の自分と他の子供たちの姿を重ね合わせ、同一化させ…
虐待家庭の家に火を付け子供たちを助け出すことによって、何度も何度も過去の自分自身を救おうとしていたであろうカエル君
しかしそうやって心の支えにして必死に自分自身を守ってきた信念を、ある日天使から拒絶されて…
救済とは、正義とは何なのか…
そこに正しいひとつの答えは無いと思います
ただ彼ら少年たちは、虐待されている子供たちを救い出すべき存在ではなかった
彼らもまた、大人たちからの救済が必要な人間だったのだ、ということは言えるでしょう
今回のお話の中では、久能くんの幼少期についても少し触れられています
あと、彼の将来の目標についても!(‘O’*)
それを知ることによって、やっとこれまでの彼の知識や蘊蓄、言動についての点と点とが繋がりました
そういうことだったの…
色々と道は険しいかもしれないけれど、頑張ってね久能くん…(´。・ω・。`)
ところで今回のお話でも、またしても星座のマークが出てきました!
一体どういった繋がりがあるのか…?いや、果たして無いのか…?
次巻、どうなるー??