夏目アラタの結婚 2巻【あらすじ・感想】アラタを追い詰めていく真珠…

乃木坂太郎
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夏目アラタの結婚 / 乃木坂太郎 2巻

1巻で、「とっておきの秘密をアラタに教えちゃう…!!」とアラタに語り掛け、「ボク、誰も殺してないんだ。」と告白した真珠

しかしいくら何でも、その発言にはアラタでなくても「イヤイヤイヤイヤ、無理があるっしょ!」と突っ込んでしまいます(´﹏`;)

しかし後日、真珠は今まで一貫してきた黙秘を破り、弁護士の宮前に事件について話し始めます

一体どういう思惑なのか…

あらすじ(※ネタバレあり)

弁護士の宮前に事務所に呼ばれたアラタは、彼から「初めて真珠さんが事件について話してくれました…!」と告げられる

それによると、真珠は殺人事件が起こる以前から何者かにストーキングされており、ある日彼女が部屋に戻るとバラバラ死体が転がっていた、犯人はそのストーカーではないか、ということだった

アラタはそれに対して、警察に届けないのも、今まで黙っていたのも、何もかも変だと反論する

宮前は、そこをあなたから聞き出してほしいんです、とアラタに頼む

しかしアラタは、あの太ったピエロに誰が恋をするのか?と更に疑問を投げかける

それに対して宮前は、当時は痩せていたのがストーキングのストレスで過食になり太ったのだと、真珠が痩せていた当時の一枚の写真を見せる

そこには首にチョーカーを付けて破れたジーンズを履いている、パンク風のファッションに身を包んだ痩せた少女が写っていた

宮前 「痛々しさっていうのは ある種の魅力なんですかね…」

悲しげな表情でそう言う宮前に、(スマホに保存するなんて、あんたもその一人だよな…)とそう思うアラタ

そんなアラタをよそに、控訴審に向けての準備に張り切る宮前

宮前 「私たちの力で彼女の無罪を勝ち取りましょう!!」

アラタ (真珠が出てきたら、お前真っ先に殺されそうだよ …宮前。)

 

アラタは真珠の犯行の動機を探ろうと、被害者の周防の妹、沙菜に話を聞くことにする

沙菜は「すごく優しい兄でした」「同情したんだと思います。かわいそうな子がいるって言ってましたから…」と、そうと語る
そして、兄の好みではなかったから、品川ピエロと兄は男女の仲ではなかったと思う、と話す

その後、二人の会話が弾む中、沙菜はアラタに「…やっぱり夏目さん、お兄ちゃんに似てます」と言い、過去に兄が痩せてガリガリになった犬を保護した話をする

(…あんたも、あのチョーカーが、首輪みたいに見えたのか…?)と周防を想うアラタ

しかしアラタはハッと気が付く

(…ひょっとして 殺された3人に似てるのは、宮前なんかじゃなくて。)

……

(――俺か。俺を殺したいのか…!!)

 

 

後日、アラタは真珠と再び面会する

真珠がどこで被害者たちと出会い、なぜ殺そうと思ったのか、それを探りに来たのだ

アラタ 「周防さんって…元カレ…なんだよね? いつ…どこで知り合ったの?」

そう聞くアラタに、真珠は訝し気に、なぜそんなことを話さなければいけないのかと聞き返す

どうしても気になっちゃって、いろんな光景がちらつく…と言うアラタに、真珠は「気持ち悪い…」と言う

アラタは男はみんなそういうところがある、分かってよ、と言い、更にこう続ける

アラタ 「それにさ、結婚するだろ…俺たち。 ―ひょっとしたら、どこかにもう…子供がいたりして」

真珠は仕切りのアクリル板越しにアラタに向かって唾を吐きかけ、怒りの形相でこう吐き捨てる

 

「生むわけないだろ、そんなもん。」

 

感想(※ネタバレあり)

アラタが探りを入れた思わぬところから、真珠の素顔が現われます

赤ん坊に強い拒絶反応を示す真珠

幼少期の虐待…?望まぬ妊娠…?そういった疑問が当然浮かびますが、しかし桃の口からその推測を聞いた真珠は「そんなありがちな話のわけないじゃん。」と一蹴します

まあね~…あの真珠だもんね…
たとえその推測が図星だったとしても、簡単に手の内を見せるわけがありませんし…

いつも本心をはぐらかす真珠ですが、しかしアラタとの面会での言い合いの末に、アラタに対して「子供みたいな字で書かれたあの手紙が特別だった」と吐露します

卓斗の書いた偽の手紙に返信をした真珠、アラタに面会をしようとした真珠、そしてアラタの歯並びを見て踵を返して立ち去ろうとした真珠…

恐らく真珠は本気で、中学生みたいな字を書く―おそらく歯並びのよくなさそうな―…文通相手を待っていたのでしょう

一体なぜ、真珠にとってあの手紙はそんなにも特別なものだったのか…

 

…ところで、真珠の言った「判決なんて溶けてなくなるもの」とは、どういう意味なのでしょうか??

判決なんて控訴審で覆せる、という自信なのか、それとも、真実はどうであれ形式だけで下される判決に意味など無い、ということなのか…

厭世的な真珠のことなので、有罪も無罪も、自分が世間にどう見られているかについても、興味がないのかもしれません

 

何度も書きますが、真珠が何を考えているのかさっぱり分かりません…(´ー`;)

そういうキャラ付けとストーリーなので当然ではあるのですが、しかし、アラタ側の感情や思考はモノローグなどでも詳細に描かれている一方、対して真珠の方はというと、拘置所での行動の描写はあれど、思考などに関する心理描写はほとんどありません

タイトル『夏目アラタの結婚』とある通り、あくまでもアラタから見た真珠なんですね

 

しかしところで、タイトルにある通り、二人は本当に結婚しちゃうんでしょうかね…?(´^`;)

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